スタグフレーションは、物価が上昇しつつも景気の悪化が続く状態です。
原材料価格や生産コストが上がり続ければ、企業の利益も圧迫され、企業が利益を上げられなければ、社員に支払う給与も増やせません。
スタグフレーションって何?意味や原因、今後の対策法をわかりやすく解説します。
スタグフレーションは、物価が上昇しつつも景気の悪化が続く状態です。
原材料価格や生産コストが上がり続ければ、企業の利益も圧迫され、企業が利益を上げられなければ、社員に支払う給与も増やせません。
スタグフレーションの意味や経済への影響
ニュースや新聞、雑誌で多くの用語が飛び交う中で、最近耳にする機会の増えた用語に、スタグフレーションがあります。
株式市場や景気にもかかわる用語で、関心を持つ人もいるかもしれません。
また、言葉は聞いたことがあるものの、どのような意味なのかを知らない人もいるでしょう。
今回は、スタグフレーションの意味や経済への影響を紹介します。
スタグフレーションとは
スタグフレーションは、景気の停滞を意味する「stagnation(スタグネーション)」と、経済の価格水準が全般的に上昇することを意味する「inflation(インフレーション)」を組み合わせた合成語です。
経済活動が停滞しながら、物価が持続的に上昇している経済状態 を表す言葉です。
インフレとデフレについておさらいしよう
インフレは、 物価が上昇し続けて、通貨の価値が下がる 状態を指します。
インフレになる原因は、供給を上回る需要です。
一方で、 デフレは物価が継続的に下落する 状態を指し、商品やサービスが売れずに通貨の価値は上がります。
商品やサービスが売れなければ企業の業績は悪くなり、賃金も上がりません。
消費者の購買意欲も下がって、安い価格でしか購入しなくなります。
安くないと売れないため、企業は価格を引き下げていき、さらに不景気になる悪いサイクルです。
このサイクルは、デフレスパイラルと呼ばれています。
インフレ・デフレとの景気の関係
景気には、 物の値段が下がるデフレ時は景気が停滞しやすく、物の値段が上がるインフレ時は景気が安定・拡大しやすい 特徴があります。
インフレは、需要が供給を上回る時のほか、原材料価格が上昇する時に起こりやすい現象です。
需要が増えれば企業の生産活動が活発化し、給料が上がる好循環を招くため、緩やかなインフレは景気の安定化、拡大を促進します。
一方で、景気が停滞すれば物価が下落するデフレとなります。
この景気停滞と、インフレの物価上昇が掛け合わされた状態がスタグフレーションです。
スタグフレーションが与える家計への影響
賃金が据え置かれて消費が冷え込んだとしても、原油や穀物価格などが上昇すれば企業のコストは上がり続けます。
消費者にとっては、 日常的に購入する商品やサービスの値段が引き上げられ、生活のコストが増加して、家計は圧迫 されます。
日常生活で、家計への影響を認識しやすいのがガソリン価格です。
経済産業省資源エネルギー庁では、給油所小売価格調査(ガソリン・軽油・灯油)を実施しています。
2022年5月23日時点では、レギュラー現金価格の全国平均は168.8円でした。
同年3月14日の全国平均175.2円よりは下がったものの、それでも前年5月24日の全国平均額である152.6円と比較すると大きく上昇しています。
さらに、食料品の値上げも避けられません。
食パンや菓子パンを製造する大手パンメーカーは、同社が製造する141品目について、2022年7月1日出荷分から値上げすることを発表しました。
同社は、同年の1月にも食パンや菓子パンの値上げを行っています。
近年、コロナウイルス感染症の影響で失業者が増える状況で、 生活必需品の高騰は、生活が困窮している家庭にとって大きな打撃 です。
今後は、社会福祉による救済措置やサポートの役割も大きくなると考えられます。
どうしてスタグフレーションが起こるのか
また、戦争や紛争も供給不足の原因のひとつです。
ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、原油やガソリンなどのエネルギー、小麦やトウモロコシのような穀物など、コモディティ(商品先物)価格は急激に上昇 しました。
オイルショックから学ぶこと
日本も過去にスタグフレーションを経験したことがあります。
1970年代から1980年代前半のオイルショック(石油危機)は、スタグフレーションを引き起こしました。
1973年に第4次中央戦争が勃発し、石油輸出国機構(OPEC)が原油価格を引き上げたことがオイルショックの発端です。
この違いは、 政府が第1次オイルショックの経験から省エネ対策などのサポートを行った点と、国民が混乱せずに冷静だった 点が挙げられます。
対策の結果、景気の落ち込みも少なく株価が下支えられたと考えられます。
これらのオイルショックによる社会の変化や経済に与えた影響から、今後物価の上昇が起きたとしても、 政府の対策や、国民と企業の努力によって、社会の安定性や経済は維持できる ことがわかるでしょう。
2022年にスタグフレーションになる?
2022年は、金融面で大きな転換期となる年だと予測されます。
新型コロナウイルス感染症が感染拡大してから、世界的には金融緩和が進められ、アメリカの中央銀行である米連邦準備理事会は、米連邦公開市場委員会で利上げを決定しました。
これは、さらなる物価高を抑制する目的があります。
また、ロシアのウクライナ侵攻についても、世界中が関心を寄せています。
両国は資源産出国であることから、今後も供給不足の懸念が続けば物価高を招いて景気を悪化させるかもしれません。
物価高や景気悪化が続けば、スタグフレーションがさらに深刻化する恐れも極めて高いと考えられます。
個人がスタグフレーションにできる対策
スタグフレーションは世界的な流れであり、個人では対処のしようがないと感じる人もいるかもしれません。
しかし、何の対策も講じないと、ただ家計が苦しくなるばかりです。
個人がスタグフレーションにできる対策があるのかどうかを説明します。
スタグフレーションだと投資はどうなるの?
ただし、スタグフレーションのリスクが高い中では投資家心理は冷え込みます。
不況になるリスクが高まり、社会不安が強くなるため、積極的に投資をしようと考えられない投資家も多いでしょう。 株の仕組みを世界一わかりやすく解説
実際、アメリカでニクソン大統領政権にスタグフレーションが起こった際は、S&P500が下落しています。
株式市場の状況が芳しくないと、優良な銘柄でも下落してしまうこともあります。
投資にとっては悪い環境と捉えられがちではありますが、裏を返せば 優良株や高配当株を割安で購入しやすい 環境です。
投資家心理が冷え込む時期に、良い銘柄を仕込んでおく長期スタンスの投資が適しているといえます。
資産を守るために幅広く投資しよう
スタグフレーションは株式にとって必ずしも良い状況とはいえませんが、 スタグフレーションが起きた時にも強い投資商品も あります。
例えば、金や銀、プラチナなどは不況下でも価格変動が少なく、これらの商品を早めに購入しておくことも効果的です。
また、不動産も不況下でも価値が下落しにくい資産です。
いきなり不動産投資と聞くと、不動産を買うほどの資金が用意できないと感じる人もいるかもしれません。
そのような場合は、数万円からでも不動産投資ができる不動産投資信託(REIT)も検討してみましょう。
商品や不動産などに投資する投資信託を活用して、分散投資しておくこともスタグフレーションへの対策の有効な手段です。
スタグフレーションが起きた時のために企業ができること
スタグフレーションになった時、すべての企業が悪い状況に置かれるわけではありません。
スタグフレーション下でも、利益を増やしたり、ビジネスチャンスを掴んだりする企業もあります。
スタグフレーションの時に企業ができることには、何があるのかをまとめました。
景気や社会情勢が悪化に傾いた時でも、冷静に対応しましょう。
商品の付加価値やブランディングを高める
企業にできる対応は、 商品やサービスの価格を上げても選ばれ続けるだけのブランディングや商品づくり を行うことです。
値上げしても納得感がある商品づくりやブランディングで、スタグフレーションに対抗します。
ターゲットの市場を増やす
どれだけ良い商品やサービスがあったとしても、ターゲットにしている市場を間違えば利益になりません。
需要が縮小しているスタグフレーション下では特に、幅広い層をターゲットとして 市場拡大を目指し 株の仕組みを世界一わかりやすく解説 株の仕組みを世界一わかりやすく解説 ます。
販売チャネルを増やす
店舗販売だけでなく、ECサイトをスタートしたり、SNSを使って集客したりチャレンジしてみてください。
購買意欲が減退する中で販売チャネルを限定していると、そのチャネルで売れなくなった時に全体に与える影響が大きくなってしまいます。
リスクを分散させるためにも、 多くのチャネルでの販売 を検討しましょう。
消費者ニーズに対応する
情報を得やすくなった消費者は、損をしないために、より効果的にニーズを満たせるような商品やサービスを探しています。
企業も消費者ニーズの変化に遅れることがないように、 短いスパンで商品やサービスを提供する ことが求められます。
よりフットワークを軽くして、顧客ニーズに対応しましょう。
経営を分析する
スタグフレーションに陥ると、企業が実施するビジネスにも大きく影響を与えます。
どのような影響があるのかをあらかじめシミュレーションすると同時に、企業の安全性を分析して、 継続的に経営できるかどうか、資金繰りに無理がないか を検討してください。
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最初は虚偽の記載をしているのではないかと思っていましたが、「宮崎公男」の活動状況を調べてみると会社設立日よりも以前にセミナー活動などを行っている様子が伺えました。おそらく、法人登記をしないで 個人事業主 としてセミナー講師などの活動を行っていたのではないかと予測しています。
続いて、所在地に関して。サイト上には「札幌市中央区北1条西3丁目3-14 ばらと北1条ビル3F」と記載されていますが、国税庁のホームページには「北海道札幌市西区宮の沢一条1丁目6番27号」と記載されていて、所在地にも相違があります。
なお、本物の会社所在地「北海道札幌市西区宮の沢一条1丁目6番27号」を調べると該当する建物は下記の「サンステージ宮の沢」という物件↓
「宮崎公男」の自宅なのか何なのか分かりませんが、投資で成功する為の手法を教える会社が腰を据える物件には見えないので、 セミナーへの期待値も一段と下がってしまいます …。
その他に挙がった指摘点など以上の検証結果を踏まえると、満を持しての 利用はオススメできません 。
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【人気向上中】VGTとは?株価・構成銘柄から今後の見通しまでわかりやすく解説
引用:https://institutional.vanguard.com/iippdf/pdfs/FS958R.pdf
VGTは米国株の中でも 情報技術セクターのみで構成 されています。
また、GAFAMを構成する5つの企業である、Amazonは一般消費財セクター、Google・Facebookは通信サービスに分類されているので、VGTに含まれるのはアップルとマイクロソフトの2社になります。
上位10銘柄で50%を占める
引用:https://www.bloomberg.co.株の仕組みを世界一わかりやすく解説 jp/quote/VGT:US
VGTは売上高や利益などの成長率が高い、米国市場を牽引するグロース銘柄を中心に350以上の銘柄に投資しています。
上位10社だけで、50%以上を占めており、特にアップルとマイクロソフトの上位2社で35%を超えているのが大きな特徴です。
一見すると金融セクターと思われる、ビザ・マスター・ペイパルもクレジット決済システムやサービスを提供するITセクターとして構成比率が高かくなっているのも特徴です。
上位10銘柄で50%を占める
VGTの配当金も含めたトータルリターンは、 過去10年で20%を超えています。
また、 分配金の利回りは0.67%と低いですが、配当金の増配率は極めて高い です。
このように、VGTはキャピタルゲインをメインとして投資することが多いですが、長期的に見るとインカムゲインも十分に期待できるETFといえます。
なお、ETFに投資するなら下落相場でも収益が狙えるCFD取引が可能なIG証券がおすすめですので、 この機会にぜひ口座開設しておきましょう。
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VGTの価格動向
2021年以前の価格動向
出典:https://jp.tradingview.com/chart/?symbol=VGT
特に2016年頃からの伸び率は驚異的で、S&Pよりもパフォーマンスがよく、米国市場の株価を牽引していることがわかります。
2021年以降の価格動向
出典:https://jp.tradingview.株の仕組みを世界一わかりやすく解説 com/chart/?symbol=VGT
2021年以降は下落局面もありながら、 順調に上昇し過去最値を更新しています。
また、アメリカ政府やFRB(米連邦準備理事会)による大規模な経済政策や追加支援でコロナショックの前の価格を早々に上回ることになりました。
なお、VGTに投資するのであればIG証券が使いやすいので、この機会に口座を開設してみてはいかがでしょうか。
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VGTの今後の見通し・価格予想
過去最高値を更新しているVGTですが、今後もITセクターの経済規模は拡大すると予想されます。
新型コロナ感染拡大でも影響を受けにくい
新型コロナ感染拡大でもVGTは影響を受けにくいと考えられます。
新型コロナ感染拡大により、外出制限やテレワーク・リモート授業・オンライン通販などが始まり、浸透してきました。
仕事の効率化や日常生活の利便性が高まり、ITの需要は拡大し続けています。
情報技術が社会インフラ化
IT技術は社会のインフラとして必要不可欠なものとなっており、更に成長・拡大していく分野だと考えられています。
日常に利用している家電製品や車などがすべてインターネットに繋がるようになったり、キャッシレス化が当たり前になったりとITの必要性が更に高まります。
コロナ過で進んだ、Eコマース(商品やサービスをネットで売買する総称)やリモート化はその利便性から今後も続いていく可能性が高いです。
テーパリングと利上げの影響は限定的
2022年はテーパリング(量的緩和の段階的縮小)と利上げが予想されていますが、その影響は限定的と考えらています。
米連邦準備制度理事会(FRB)は12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表で、国債等の買入額を減額するテーパリングの加速が決定、2022年は3回の利上げが予想されています。
しかし、 予想外の利上げや時期の前倒しには注意が必要です。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは? 何かをわかりやすく解説
2022年03月28日
昨今、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を頻繁に耳にするようになりました。DXと聞いて、企業のIT化・デジタル化といったイメージを抱かれる方も多いことと思います。しかしDXの目指すところは、IT化・デジタル化に留まらず、社会全体までをも取り込む変革にあります。
以下では、DX(デジタルトランスフォーメーション)とはそもそも何なのか、その意味するところ、具体的な取り組みや事例、そして課題について、わかりやすく解説します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義や意味を簡単に説明
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が初めて使われたのは、スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって2004年に発表された論文中で提唱されたものになります。その概念は、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義されています。
その後はよりビジネス的な側面で、その定義や解釈が語られるようになってきました。多義的ではあるもの、概ねそれらは、「デジタル技術の活用によって企業のビジネスモデルを変革し、新たなデジタル時代にも十分に勝ち残れるように自社の競争力を高めていくこと」という意味合いで用いられています。
そもそもDXとは何の略?
ビジネスにおけるDXとは何か?例を用いて説明
情報処理推進機構(IPA)では、DXについてこのように定義しています。
AI や IoT などの先端的なデジタル技術の活用を通じて、デジタル化が進む高度な将来市場においても新たな付加価値を生み出せるよう従来のビジネスや組織を変革すること
引用:IPA|デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査
- 新たな製品やサービス、市場が生まれる
- 既存の製品やサービスの分析改善をする仕組みを構築
- ビジネスプロセスを改善し生産性の向上、コスト削減、時間短縮をもたらす
- 業務や組織のみえる化をすることでワークライフバランスを改善
- 企業のあり方や業界のあり方を見直す
経済産業省におけるDXの定義
2018年12月に経済産業省が発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、以下のように定義がなされています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することとし、団体によりそれぞれ定義は異なりますが、「デジタル技術による変革」という点が共通のキーワードになりそうです。
参考:経済産業省|『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0』
DX推進に必要なデジタイゼーションとデジタライゼーションとは?
デジタイゼーション(Digitization)とは、アナログで行ってきた作業をデジタル化することです。例えば、紙媒体の書籍をPDFに変換することやCRMツールを導入して顧客データ管理を効率化するなどになります。IT技術を活用することで、作業の効率化や生産性の向上を見込めます。経済産業省でも、デジタイゼーションを「アナログ・物理データのデジタルデータ化」と定義しています。
デジタライゼーション(Digitalization)とは、アナログで処理されてきた業務やビジネスプロセスをデジタル化することです。部署単位ではなく、ワークフロー全体を横断的にデジタル化し、効率化します。例えば、映像や漫画のコンテンツをインターネット上で楽しめるようにするといったことやCRMツールで管理している顧客データをもとに、見込み顧客を適切に購入に導くようアプローチしていくといったトータル的な仕組みの構築、フローの自動化などになります。
さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、そうした枠組みを超え、人々の生活をより良くするために社会全体を変革、さらにはデジタル技術による革新的なイノベーション「デジタル・ディスラプション」を意味するものと捉えられています。
参考)DX推進でよく使われるツール
-
株の仕組みを世界一わかりやすく解説
- 収集した各種データのAIによるビックデータ分析
- CRM(顧客管理システム)によるマーケティングセールス
- チャットボットによる24時間365日のカスタマーサポート
- 製造現場における生産管理システム(ERP)の導入
参考)DXをわかりやすく解説した本(書籍)
『いちばんやさしいDXの教本』 人気講師が教えるビジネスを変革するIT戦略 亀田重幸・進藤圭 著
『未来IT図解』 これからのDXデジタルトランスフォーメーション 内山恒志 著
なぜDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が必要なのか
以下では、いまなぜこのタイミングで、DXがこれほど注目され、企業が取り組みを進めているのか、その理由について説明します。
経済産業省公表の『DXレポート』をわかりやすく解説
2018年9月に経済産業省が発表したDXレポートでは、「ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開」という副題のもと、老朽化・複雑化・ブラックボッ クス化した既存システムが DXを本格的に推進する際の障壁となることに警鐘を鳴らし、2025年までにデジタル企業への変革を完了させることを目指して計画的にDXを進めるよう促しています。
このレポートを受け、企業は自社ITシステムや将来設計などに不安を抱き、DXへの取り組む必要性を本格的に感じたと言えます。以降では、レポートで指摘されているレガシーシステム問題と2025年の崖について解説します。
レガシーシステム問題
レガシーシステムとは、老朽化、肥大化・複雑化、ブラックボックス化したシステムを指します。DXレポートのなかでは次のような調査結果が示されています。
約8割の企業がレガシーシステムを抱えており、約7割の企業でレガシーシステムがDXの足かせと感じている
IT人材が不足する中、レガシーシステムの保守・運用にIT・ ソフトウエア人材を割かれており、貴重なIT人材資源の浪費につながっている
6割以上の事業者が、レガシーシステムは保守・運用が属人的となり、 継承が困難と考えている
このようにレガシーシステムは、ビジネスモデルの柔軟で迅速な変化への障壁であり、維持管理費の高騰によるコスト増、保守運用の担い手不足によるセキュリティ面でのリスクといった様々な弊害を生み出していると指摘されています。
2025年の崖とは
DXレポートのなかで「2025年の崖」という言葉が登場します。レガシーシステムは、コストや人材を新しいIT技術等に割くことができず、ビジネスモデルの柔軟で迅速な変化への対応が行えないという弊害を生じさせます。その結果、国際的なデジタル競争の敗者になってしまうことによる、日本経済への大きな損失の可能性がレポートでは示されています。
2025年には21年以上稼働している基幹システムが6割以上になるとされ、IT関連の人材不足は43万人にまで到達すると言われています。また、基幹系システムを刷新できなければ、2025年以降に現在の3倍となる最大12兆円/年の経済損失が生まれる可能性があるともされています。2025年まであと数年、もはや待ったなしの状況にあるというわけです。
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む理由
自社の製品やサービスの競争力を維持し、さらに強化し拡充していくためには、デジタル技術の導入は避けて通れません。そのため、あらゆる企業において、DXへの取り組みは急務であると言えます。
生産性の向上
商品の製造におけるDXの取り組みの場合を見てみましょう。例えば、「製造現場での不良品の発生率を自動集計することにより、生産管理が容易になることで生産性が向上する」これもDXです。
一方で、販売データやカスタマーサービスに関するデータを自動で収集・分類し、AIによる解析などを介して、より顧客のニーズに合った商品の開発をすることや、データを活用して生産や販売にかかるコストを減少させることもDXが生み出す望ましい姿と言えます。
業務効率の向上
無駄なコストを下げることは企業の基本的な取り組みです。最近ではテレワークやERP(Enterprise Resource Planning)の導入で作業や移動時間などの短縮だけでなく、人事から商品・顧客情報など、幅広く業務の効率化に取り込んでいる企業もあります。これもDXです。
また、CRM(Customer Relationship Management)やSalesforceツールによるセールスの効率アップにもDXは大きく寄与しています。例えば、従来の名刺情報のリスト化による架電などの個別アプローチから、クラウドによる顧客管理システムのセールスに切り替え、ターゲットごとのカスタマージャーニーに応じたコミュニケーションフローを作成することで、結果的に顧客の購買タイミングに沿ったアプローチが行え、成約率のアップにつながるといった事例もあります。
企業の継続的な成長
DXはBCP(事業継続計画)という観点でも非常に重要です。事業継続に必要なDXは企業の活動基盤のデジタル化になります。
経費処理、顧客との契約、社内外の打ち合わせ、こうした日々発生する業務をオンライン化する・クラウド化することにより、非常事態が発生するような状況においても、変わらず事業の継続が可能な基盤を日頃から作り上げておくことが肝要です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)推進による課題
経済産業省では、DXの取り組みにおいて、経営者が押さえるべき事項を明確にし、取り組みの程度をチェックする指標とすることを目的に、『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン』(DX 推進ガイドライン)を策定しています。
2つの観点から、実際の進み具合や課題について見ていきます。
経営のあり方と仕組み
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進には、自社がDXによって目指す姿を経営戦略やビジョンといった形で明確に示し、社内外に共有することが重要です。また経営層によるコミットメントも欠かせません。
さらに、戦略やビジョン策定に基づき、取り組む上での体制づくりも重要です。専門の部署を新設する、社長直轄のプロジェクトとするといった手法も有効です。
しかしながら、企業の経営層の多くはDXの必要性について理解はしているものの、決断をするに至る企業はまだまだ少ない状況です。
主な失敗ケースは以下の通りです。
・戦略なき技術起点の PoC は疲弊と失敗のもと
・経営者が明確なビジョンがないのに、部下に丸投げして考えさせている(例:「AI を使って何かやれ」など)
・仮説を立てずに実行すること、失敗を恐れて何もしないこと
経済産業省|『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(Dx推進ガイドライン)Ver.1.0』
基盤となるITシステムの構築
実際のシステムの構築にあたっても課題は山積しています。全社的な ITシステムの構築のための体制・ガバナンスの構築が必要なことはもとより、事業部門ごとに最適化されたシステムをどう汎用化していくか、ベンダー依存からの脱却、それを可能にするIT人材の確保や社内における教育など、課題は数多くあります。
そのため取り組みを始めてはいても、一部業務のデジタル化など、第一段階のデジタイゼーションに止まっている企業がほとんどなのが現状です。
DXレポートから約2年が経過した時点で、IPAがDX推進指標の自己診断結果を収集し、回答企業約500社におけるDX推進への取組状況を分析した結果でも、全体の9割以上の企業がDXにまったく取り組めていない(DX未着手企業)レベルか、散発的な実施に留まっている(DX途上企業)状況であることが明らかになっています。
・これまで付き合いのあるベンダー企業からの提案を鵜呑みにしてしまう。
・経営者がリスクを懸念して、実績があるベンダー企業の提案であれば問題ないとの判断に傾いてしまい、CIO(Chief Information Officer: 最高情報責任者)自身もそのような報告をする。
・事業部門がオーナーシップを持たず、情報システム部門任せとなり、開発した IT システムが事業部門の満足できるものとならない。
・ベンダー企業が情報システム部門としか話ができず、事業部門と話ができない。
・要件定義を請負契約にした場合、ユーザ企業が自身の IT システムを把握しないま ま、結果として、ベンダー企業に丸投げとなってしまう。
・既存の IT システムの仕様が不明確であるにもかかわらず、現行機能保証という要 望を提示する。
・刷新後の IT システムは継続してスピーディーに機能追加できるようなものにする との明確な目的設定をせずに、IT システムの刷新自体が自己目的化すると、DX に つながらない IT システムができ上がってしまう(再レガシー化)。
経済産業省|『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(Dx推進ガイドライン)Ver.1.0』
DX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例
デジタル変革に対する現状への危機感を持つ企業は増加しているものの、「DXの取組を始めている企業」と「まだ何も取り組めていない企業」に二極化しつつある状況と言えます。
そこで以下では、積極的に取り組みを進めている企業の事例として、経済産業省と東京証券取引所がDXに取り組む企業として選定した「DX銘柄2020」から、DXの成功事例について紹介します。
DX銘柄2021グランプリに選ばれた事例1
DX銘柄2021のグランプリに選ばれた日立製作所では、先進的なデジタル技術を用いた社内での取り組みや、顧客と協創した事例などを新たなソリューションとして展開し、グローバルでDXを推進しています。
①大みか事業所では、IoT技術やデータ分析などを活用し開発・設計から納入後の運用保守までを全体最適化する長年の取り組みが評価され、世界の先進工場「Lighthouse」に選出されるとともに、この取り組みをソリューションとして提供。
②自社の製造業として培ってきたOT(制御・運用技術)とIT、プロダクトを融合させ、製品の故障予兆検知や運用効率の最適化などのバリューチェーン全体を最適化するソリューションとして提供することで、アフターサービス・メンテナンスサービスの高度化・高付加価値化やビジネスモデルの変革を実現。
③クラウド基盤上でデジタルソリューションをパッケージ化し、迅速な検証や導入を実現するプラットフォーム「Lumada Solution Hub」や、さまざまな強みを持つ多様な顧客やパートナーをつなぎ、オープンイノベーションの場を形成するパートナー制度「Lumadaアライアンスプログラム」などの提供を通じて、社会でのDXを実現するエコシステムを構築。
④新型コロナウイルス感染症に対しては、テレワークを支援するデジタル環境を社内で強化するとともに、リモート・非接触・自動化を支援するデジタルソリューションの提供を通じて、顧客のニューノーマルな生活様式への移行を支援。
このように社内外での新規ビジネス創出の実績や、グローバルでのDX加速に向けた戦略や基盤、人財や体制などを踏まえて、自社や顧客とのDXをグローバルでのビジネス展開に繋げている点や、DXが企業全体の変革のエンジンとなっていることが評価されています。
参考:日立製作所|『経済産業省と東京証券取引所が選ぶデジタル活用の優れた実践企業「DX銘柄2021」において「DXグランプリ2021」に選定』
DX銘柄2020グランプリに選ばれた事例2
DX銘柄2020のグランプリに選ばれた小松製作所(コマツ)の事例を見て行きましょう。同社では、「コムトラックス」と呼ばれるインターネット上で建設機械を一括管理し稼働状況を確認するための仕組みを構築しました。
同じくグランプリに選ばれたトラスコ中山では、機械工具卸として、「自動化できる仕事は、システムで全て自動化!」をコンセプトに、業務の自動化のための様々な取り組みを実施しました。
AIと高度な分析処理により、最適な価格を瞬時に計算する見積業務の自動化、販売実績などのデータをもとに個々の商品の需要予測を行うことによる商品在庫の自動化などにより、業務の生産性向上、スピード・精度アップを実現しています。
新しいビジネスシーンの創出
グローバルな視点でDXにより新たなビジネスシーンに繋がった事例として、まず一番に挙げられるのはUberでしょう。日本でUberといえばUber Eatsのイメージが強いですが、その大元は言うまでもなく自動車配車サービスです。
ユーザーはアプリを使用して配車をオーダーし、行きたい場所を指定、あとはUberに登録している個人の自動車が到着するのを待つだけです。ドライバーとのお金のやりとりもありません。この仕組みは、スマートフォンを中核とするデジタル技術があってのものです。
日本では法的な規制から欧米のような普及には至っていませんが、これまでと異なるビジネスモデルで旧来の市場構造を覆してしまうDXのわかりやすい成功事例と言えるでしょう。
また、日本ではメルカリも新たなビジネスシーンにつながった事例と言えます。メルカリは無料で使えるフリマアプリです。ユーザーが不要なものを他のユーザーにアプリを通して売り買いのできるサービスになります。こちらもインターネットを通じてデジタル技術を駆使したDXの成功事例と言えます。
社会貢献の観点から第一次産業のDX推進も挙げられます。農業のDXを推進できるみどりクラウド(株式会社セラク)は、圃場の環境計測や制御を行え、クラウド上で農作業の管理記録ができます。さらに流通販売支援のサービスと合わせて作物の生産から経営までをワンストップで支援できるサービスです。これにより圃場環境や農作業の可視化・数値化ができるため、少ない人数で安定した収穫量を目指せます。全国の農家さんに活用されており、日本の農業の発展に貢献しています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に必要な人材とは?
経済産業省のDXレポートにもあるようにIT関連の人材不足が課題となっています。IPAが2020年5月に発表した「DX推進に向けた企業とIT人材の実態調査」によると、DXに対応する人材に必要なことは「自ら解決すべき課題を設定する課題設定力や主体性・好奇心などの適性が重要」であるとされています。デジタル技術に長けた人材だけではなく、プロジェクトを推進していく推進力も必要だということを表しています。
プロダクトマネージャー
プロダクトマネージャーはPDMと略されて呼ばれることもあります。企業のプロダクトに対する全体的な責任と最終的な決定権をもっています。主にターゲットの設定やプロダクトの立案、ロードマップの作成、戦略から分析に加え、プロダクトのライフサイクル管理やブランド管理・効果的な販売戦略を立てるためのマーケティングといった仕事を行います。
ビジネスデザイナー
ビジネスデザイナーは、製品やサービスをビジネスとして成立させるための仕組みを構築する職種です。クライアント企業や市場のニーズをしっかりくみ取り、ビジネスを構築していくことがビジネスデザイナーの仕事になります。
データサイエンティスト
データ・サイエンティストは、さまざまな意思決定の局面において、データにもとづいて合理的な判断を行えるように意思決定者をサポートする職種です。統計解析やITのスキルに加えて、ビジネスや市場トレンドなど幅広い知識が求められます。
テックリード
テックリードは、エンジニアチームの技術面でのリーダーです。そのため、チームが開発するシステムの品質担保に責任を負うことが一般的です。具体的には、コード品質の方針策定やコードの品質を担保するための指示、テスト計画、資料のレビューなどを担当します。時には、品質を担保したシステム開発のために、新規エンジニアのアサインを調節することもあります。
プログラマー
プログラマーは、コンピューターを動かす「プログラミング言語」を用いて、さまざまなシステムやアプリケーションを作る職種です。プログラマーの基本的な業務内容は、システムエンジニア(SE)が設計したシステムの仕様書に基づいて、プログラマーがプログラミングを行います。
エンジニア
エンジニアは技術者として幅広い職種ですが、DX推進においてはデジタルシステムの実装やインフラ構築などを担うITエンジニアが一般的だと考えられます。ITエンジニアはIT関連の知識やスキルを持つ技術者たちの総称であり、システムエンジニアやネットワークエンジニア、サーバーエンジニアなどが挙げられます。
スタグフレーションって何?意味や原因、今後の対策法をわかりやすく解説します。
スタグフレーションは、物価が上昇しつつも景気の悪化が続く状態です。
原材料価格や生産コストが上がり続ければ、企業の利益も圧迫され、企業が利益を上げられなければ、社員に支払う給与も増やせません。
スタグフレーションの意味や経済への影響
ニュースや新聞、雑誌で多くの用語が飛び交う中で、最近耳にする機会の増えた用語に、スタグフレーションがあります。
株式市場や景気にもかかわる用語で、関心を持つ人もいるかもしれません。
また、言葉は聞いたことがあるものの、どのような意味なのかを知らない人もいるでしょう。
今回は、スタグフレーションの意味や経済への影響を紹介します。
スタグフレーションとは
スタグフレーションは、景気の停滞を意味する「stagnation(スタグネーション)」と、経済の価格水準が全般的に上昇することを意味する「inflation(インフレーション)」を組み合わせた合成語です。
経済活動が停滞しながら、物価が持続的に上昇している経済状態 を表す言葉です。
インフレとデフレについておさらいしよう
インフレは、 物価が上昇し続けて、通貨の価値が下がる 状態を指します。
インフレになる原因は、供給を上回る需要です。
一方で、 デフレは物価が継続的に下落する 状態を指し、商品やサービスが売れずに通貨の価値は上がります。
商品やサービスが売れなければ企業の業績は悪くなり、賃金も上がりません。
消費者の購買意欲も下がって、安い価格でしか購入しなくなります。
安くないと売れないため、企業は価格を引き下げていき、さらに不景気になる悪いサイクルです。
このサイクルは、デフレスパイラルと呼ばれています。
インフレ・デフレとの景気の関係
景気には、 物の値段が下がるデフレ時は景気が停滞しやすく、物の値段が上がるインフレ時は景気が安定・拡大しやすい 特徴があります。
インフレは、需要が供給を上回る時のほか、原材料価格が上昇する時に起こりやすい現象です。
需要が増えれば企業の生産活動が活発化し、給料が上がる好循環を招くため、緩やかなインフレは景気の安定化、拡大を促進します。
一方で、景気が停滞すれば物価が下落するデフレとなります。
この景気停滞と、インフレの物価上昇が掛け合わされた状態がスタグフレーションです。
スタグフレーションが与える家計への影響
賃金が据え置かれて消費が冷え込んだとしても、原油や穀物価格などが上昇すれば企業のコストは上がり続けます。
消費者にとっては、 日常的に購入する商品やサービスの値段が引き上げられ、生活のコストが増加して、家計は圧迫 されます。
日常生活で、家計への影響を認識しやすいのがガソリン価格です。
経済産業省資源エネルギー庁では、給油所小売価格調査(ガソリン・軽油・灯油)を実施しています。
2022年5月23日時点では、レギュラー現金価格の全国平均は168.株の仕組みを世界一わかりやすく解説 8円でした。
同年3月14日の全国平均175.2円よりは下がったものの、それでも前年5月24日の全国平均額である152.6円と比較すると大きく上昇しています。
さらに、食料品の値上げも避けられません。
食パンや菓子パンを製造する大手パンメーカーは、同社が製造する141品目について、2022年7月1日出荷分から値上げすることを発表しました。
同社は、同年の1月にも食パンや菓子パンの値上げを行っています。
近年、コロナウイルス感染症の影響で失業者が増える状況で、 生活必需品の高騰は、生活が困窮している家庭にとって大きな打撃 です。
今後は、社会福祉による救済措置やサポートの役割も大きくなると考えられます。
どうしてスタグフレーションが起こるのか
また、戦争や紛争も供給不足の原因のひとつです。
ロシアがウクライナに軍事侵攻したことで、原油やガソリンなどのエネルギー、小麦やトウモロコシのような穀物など、コモディティ(商品先物)価格は急激に上昇 しました。
オイルショックから学ぶこと
日本も過去にスタグフレーションを経験したことがあります。
1970年代から1980年代前半のオイルショック(石油危機)は、スタグフレーションを引き起こしました。
1973年に第4次中央戦争が勃発し、石油輸出国機構(OPEC)が原油価格を引き上げたことがオイルショックの発端です。
この違いは、 政府が第1次オイルショックの経験から省エネ対策などのサポートを行った点と、国民が混乱せずに冷静だった 点が挙げられます。
対策の結果、景気の落ち込みも少なく株価が下支えられたと考えられます。
これらのオイルショックによる社会の変化や経済に与えた影響から、今後物価の上昇が起きたとしても、 政府の対策や、国民と企業の努力によって、社会の安定性や経済は維持できる ことがわかるでしょう。
2022年にスタグフレーションになる?
2022年は、金融面で大きな転換期となる年だと予測されます。
新型コロナウイルス感染症が感染拡大してから、世界的には金融緩和が進められ、アメリカの中央銀行である米連邦準備理事会は、米連邦公開市場委員会で利上げを決定しました。
これは、さらなる物価高を抑制する目的があります。
また、ロシアのウクライナ侵攻についても、世界中が関心を寄せています。
両国は資源産出国であることから、今後も供給不足の懸念が続けば物価高を招いて景気を悪化させるかもしれません。
物価高や景気悪化が続けば、スタグフレーションがさらに深刻化する恐れも極めて高いと考えられます。
個人がスタグフレーションにできる対策
スタグフレーションは世界的な流れであり、個人では対処のしようがないと感じる人もいるかもしれません。
しかし、何の対策も講じないと、ただ家計が苦しくなるばかりです。
個人がスタグフレーションにできる対策があるのかどうかを説明します。
スタグフレーションだと投資はどうなるの?
ただし、スタグフレーションのリスクが高い中では投資家心理は冷え込みます。
不況になるリスクが高まり、社会不安が強くなるため、積極的に投資をしようと考えられない投資家も多いでしょう。
実際、アメリカでニクソン大統領政権にスタグフレーションが起こった際は、S&P500が下落しています。
株式市場の状況が芳しくないと、優良な銘柄でも下落してしまうこともあります。
投資にとっては悪い環境と捉えられがちではありますが、裏を返せば 優良株や高配当株を割安で購入しやすい 環境です。
投資家心理が冷え込む時期に、良い銘柄を仕込んでおく長期スタンスの投資が適しているといえます。
資産を守るために幅広く投資しよう
スタグフレーションは株式にとって必ずしも良い状況とはいえませんが、 スタグフレーションが起きた時にも強い投資商品も あります。 株の仕組みを世界一わかりやすく解説
例えば、金や銀、プラチナなどは不況下でも価格変動が少なく、これらの商品を早めに購入しておくことも効果的です。
また、不動産も不況下でも価値が下落しにくい資産です。
いきなり不動産投資と聞くと、不動産を買うほどの資金が用意できないと感じる人もいるかもしれません。
そのような場合は、数万円からでも不動産投資ができる不動産投資信託(REIT)も検討してみましょう。
商品や不動産などに投資する投資信託を活用して、分散投資しておくこともスタグフレーションへの対策の有効な手段です。
スタグフレーションが起きた時のために企業ができること
スタグフレーションになった時、すべての企業が悪い状況に置かれるわけではありません。
スタグフレーション下でも、利益を増やしたり、ビジネスチャンスを掴んだりする企業もあります。
スタグフレーションの時に企業ができることには、何があるのかをまとめました。
景気や社会情勢が悪化に傾いた時でも、冷静に対応しましょう。
商品の付加価値やブランディングを高める
企業にできる対応は、 商品やサービスの価格を上げても選ばれ続けるだけのブランディングや商品づくり を行うことです。
値上げしても納得感がある商品づくりやブランディングで、スタグフレーションに対抗します。
ターゲットの市場を増やす
どれだけ良い商品やサービスがあったとしても、ターゲットにしている市場を間違えば利益になりません。
需要が縮小しているスタグフレーション下では特に、幅広い層をターゲットとして 市場拡大を目指し ます。
販売チャネルを増やす
店舗販売だけでなく、ECサイトをスタートしたり、SNSを使って集客したりチャレンジしてみてください。
購買意欲が減退する中で販売チャネルを限定していると、そのチャネルで売れなくなった時に全体に与える影響が大きくなってしまいます。
リスクを分散させるためにも、 多くのチャネルでの販売 を検討しましょう。
消費者ニーズに対応する
情報を得やすくなった消費者は、損をしないために、より効果的にニーズを満たせるような商品やサービスを探しています。
企業も消費者ニーズの変化に遅れることがないように、 短いスパンで商品やサービスを提供する ことが求められます。
よりフットワークを軽くして、顧客ニーズに対応しましょう。
経営を分析する
スタグフレーションに陥ると、企業が実施するビジネスにも大きく影響を与えます。
どのような影響があるのかをあらかじめシミュレーションすると同時に、企業の安全性を分析して、 継続的に経営できるかどうか、資金繰りに無理がないか を検討してください。
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